県都を結ぶ2種類の船(久々の宿泊旅行~広島~その④)

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前回の続き、そして広島編の最終回です。

shangrillagoonbay.hatenablog.com

【行先】広島県(広島市廿日市市)

【期間】2020年(令和2年)7月23日~7月24日

 広島駅から路面電車で30分ほど、終点の広島港(宇品)電停へ到着します。

電停の目の前に宇品旅客ターミナルビルの建物があり、路面電車からは段差なしで雨に濡れることもなく建物へ入ることができます。

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ターミナルに入りトイレを済ませて乗船券を購入。その後建物内を散策します。乗船券の発売窓口は行先によって分かれており、ターミナルの東西2か所に船が発着する桟橋への出入口があります。東西それぞれの出入口付近にはそれぞれの方面の発着桟橋番号と行先と桟橋番号、出航時刻が表示された電光掲示板があり鉄道のターミナル駅のような雰囲気も感じました。

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ターミナル西側出入口の発車(船)標

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朝9時ごろターミナルに立ち寄った時の写真。松山行きは高速船・フェリー合わせて1時間間隔で運航されている

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参考:広島駅在来線中央改札

松山行きのフェリーは10番乗り場から発着。高速船の発着する7番乗り場はターミナルのすぐ前にあるのですが10番乗り場はターミナルからやや離れたところに有るため、乗船・下船共に他の交通機関への乗り継ぎはやや余裕を見ておく必要があります。

そんなわけで出港20分前に10番乗り場の前の別の待合室へ移動します。

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15分前に10番乗り場へ。ちょうど今日乗る船、そして今回のもう1つの目的地が着岸しようとしていました。

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今回乗る船の船名は【SEA PASEO】2019年8月1日、瀬戸内海汽船のカーフェリーとしては実におよそ30年ぶりに新造船として就航しました。

船のコンセプトは「瀬戸内海の移動を楽しむみんなの公園」。船名はスペイン語で「海の散歩道」という意味です。船体は深い紺色と金色のラインが施され、ロゴマークは寄港地の広島・呉・松山を現した3つのハートが組み合わさっています。

船のことを知った時から「是非全区間通しで楽しんでみたい」と思っていた船で、この旅行を広島行きの計画に変えた当初から広島~呉の区間乗船等をなんとか挟み込もうと考えていましたが、天候が悪く街歩きには適さないこの日は屋外デッキこそ厳しいかもしれないが船内で十分楽しめて食事も摂れて全区間乗りとおせる、と判断したわけです。

出港10分前に乗船が開始されます。就航から1年経っていないこともありまだピカピカと言って良い状態で早速期待が膨らみます。

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 そして12:20。定刻通り【SEA PASEO】は広島港(宇品旅客ターミナル)を出港しました。

基本的に前半の呉寄港までと食事を食べるまでは船内を巡ってみたりゆっくり席についてみたりとしていました。

広島~呉の間は比較的乗船客の数は少な目。実際広島市中心部(紙屋町)や広島駅からならば真っすぐ港へ行くよりは一度広島駅から呉線で呉へ向かいそこから呉港へ向かう方が時間・運賃共に有利であることも一因なのでしょう。

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乗船口目の前の船内案内図。

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探索していて感じたのはやはり「綺麗でお洒落な船だなあ」といったところです。船内は船体前方から「Cruise Court」Oasis Court」「Vacance Court」の3つにエリア分けされており、その中に靴を脱いで上がり横になれるエリア(GORONEエリア)、靴を脱いで座席で進行方向右側(松山行き)を楽しめるエリア(OZASEKIエリア)、船内最前方で眺望を楽しめるエリア(パノラマ・ソファ)など多様な座席種別が配置されていますが、どの席も追加料金等は無し。座席の指定も特別料金も無しで快適な席はより取り見取りというすばらしいことになっています(語彙力)。

船内はこんなに素晴らしいのですが外の天気はどんより。そして時折雨も強まります。晴れてさえいればもっと素晴らしいことでしょう。

この辺りは島に囲まれ海域も比較的狭いためか揺れも気にはならないレベルです。

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少し雨が弱まった間にテラス方面も散策します。

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徐々に天気が怪しくなり始め再び船内へ。出発から40分ほどチャイムと共に呉入港の放送がかかります。そして呉に近づく程雨は更に強まっていきます。

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【(新)翔洋丸】と入れ替わりで7月31日に役目を終えた【翔洋丸】

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呉は戦前の旧海軍の頃からの軍港。現在は海上自衛隊の艦船が佇む

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周囲の建物や船が近づいてくると良く見えるのですがそうでなければ見通しが効かない程の雨が降り雷鳴も時折聞こえる程でした。そして呉港に入港。ここでどっと乗船客が増えます。着岸すると雨は弱まりました。

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呉を出港すると再び雨が強まりだします。そしてこの航路のハイライトである音戸の瀬戸が近づいてきます。

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音戸の瀬戸に差し掛かる前に、お腹に少し余裕が出てきたため船内の売店できつねうどんを注文。音戸の瀬戸を眺めながら食べることにしました。

船内売店ではから揚げに肉まんやおにぎりが、うどんはカレーうどん、かけうどん、肉うどんが販売されており軽めの食事を摂ることもできます。

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そして音戸の瀬戸へ差し掛かります。(写真は全て進行方向右側のものです。)

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音戸の瀬戸を抜けると雨はやや弱まりうどんも食べ終わったので再びの船内探索。

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音戸の瀬戸を眺めながら昼食を摂った売店にほど近い「パノラマ・カウンター」

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1階車両甲板と2階パッセンジャー・デッキを結ぶエレベーター

ここまでは船体前方から中央部の「Cruise Court」Oasis Court」を中心に過ごしていましたが雨が落ち着いてきて、そして所要時間も半分を過ぎようという時間帯だったため船体後方の「Vacance Court」へ移動することにしました。

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「Vacance Court」にある設備は「ひき波のHANARE」「そよ風のパディオ」
まずは「ひき波のHANARE」へ。靴を脱いで上がります。

船体最後方の半円形部分を客室にした形で大きな窓から後方の眺望を楽しむことができます。ただこの日は人は少な目。「HANARE」だけあって乗船口からやや離れた場所、そして一度屋外へ出る必要があることから雨が強く降る時間が長かったこともあるのでしょう。その分広々と過ごすことができました。

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そして雨の止み間で屋外部分の「そよ風のパディオ」と3階展望デッキ「シャイン・デッキ(屋上展望公園)も少しばかり見て回ります。

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「屋外展望公園」の名の通り周囲には瀬戸内海の眺望が広がり、座ってくつろぐことのできるスペースも配置。天気の穏やかな日であればそれは素晴らしい景色と心地の良い潮風に癒されそうな空間だと感じました。(繰り返しになりますがこの日は視界が悪くなるレベルの大雨な時間帯もあるなどどんよりとした空模様でした。)
この後下船直前まではほとんど「ひき波のHANARE」で過ごしていました。

音戸の瀬戸を過ぎるとやや航行する海域が広くなる関係もあるのか、それまでほとんど揺れが無かったのですが左右にゆっくりと揺れ始めます。船酔いを催すほどではなかったのですがここまでの悪天候下での乗船は初めてだったのもあり、そのまま遠くをみて過ごすことにします。

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そして広島港・宇品旅客ターミナルから約2時間40分。目的地の松山観光港ターミナルビルが見えてきます。下船案内の自動船内放送も流れたため名残惜しくも「ひき波のHANARE」を後にしました。

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そして【SEA PASEO】は松山観光港に到着。下船が始まります。下船前に少しばかり撮影。

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船体1階から下船。その後階段を登りコンコースへ入ります。(2階にも乗船口があり観光港ターミナルにはボーディングブリッジもあるのですが接続等が難しいのでしょうか…。)
【SEA PASEO】、悪天候の下での初乗船でしたがそれでも十分すぎるぐらい楽しむことができました。靴を脱ぎくつろぐこともできるエリアに前方・後方の眺望を楽しむことができるなどの豊富な座席種別にうどんなど軽食・ドリンク類の販売、そして天気さえよければ瀬戸内の潮風を感じることのできる屋上デッキ。是非天気の穏やかな時に改めて乗船してみたいと感じました。

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さて、初めての四国上陸。せっかくなので松山市内にでて道後温泉でゆっくり…と行きたいところなのですが今回は時間の都合もあり泣く泣くここで折り返し。1時間後のスーパージェット呉・広島行きに乗船するため窓口で発券手続きと追加料金(3,310円)を支払います。

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広島港・宇品旅客ターミナルはどこか鉄道駅のような雰囲気を感じましたが松山観光港ターミナルは出発案内の電光掲示板や船会社カウンターの配置からか、どこか空港のような感じを受けました

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参考:福岡空港国内線旅客ターミナル

電光掲示板の案内を見てわかる通り、【SEA PASEO】は到着後すぐ折り返し15:20に松山観光港を出発し、広島へは18:00に到着します。一方これから乗船する「スーパージェット」は松山観光港を16:00に出港し17:17に広島へ到着。実に80分近く所要時間の差があります。

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そして出港10分前に乗船開始。船名は【宮島】で瀬戸内海汽船運航便です。

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今回乗船したのは1階の普通席。2階席は追加料金(500円)が必要な「スーパーシート」となっています。

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高速船ということもあってか着席時にはシートベルトの着用を促す掲示が座席に表示されていました。そしてこちらにも売店があるようです。

そして定刻通り16:00にスーパージェット【宮島】は松山観光港を出港しました。

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往路と比べると天気は回復傾向。高速船の為当然ながらスピードも上がっていきます。揺れは進んでいることによるものは感じましたが波の影響を受けたような感じではなかったように感じました。
そして再び音戸の瀬戸を通峡します。往路では進行方向右側(倉橋島側)で復路も同じ進行方向に対して右側(といっても今度は本土側)の写真を。
往復ともに狭い海峡であることから通過する際は高速船・フェリー問わず速度を落とす旨の放送が流れます。

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音戸の瀬戸を抜けると呉港は間もなく。その前に呉の臨海部にある製鉄所や造船所、自衛隊施設を望みます。

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呉港に到着。この時間帯になると雨もやみ雲に覆われているとはいえちょっと空が明るくなってきたようにも感じました。そして呉港を出港。

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そして今日の出発地のグランドプリンスホテル広島の三角形の建物が見えてくると広島港・宇品旅客ターミナルはもう間近。そして旅の終わりも近づきます。

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【SEA PASEO2】を右手に眺め、スーパージェット【宮島】は定刻よりやや遅れて広島港・宇品旅客ターミナル7番乗り場に到着しました。

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【宮島】の前に停泊していたスーパージェット【道後】(瀬戸内海汽船)

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【宮島】と【道後】の2隻のスーパージェットが並ぶ

この後は路面電車で広島駅へ向かい、新幹線で家路につき旅を終えました。


新型コロナウイルス流行の影響を受け計画が二転三転した今回の旅行。テーマ的なものがあるとすれば一貫して「船に乗りたい」でしたが今回は2日間で4社3航路5隻6便の高速船・カーフェリーに乗ることができました。

 

その代わり(?)というのもなんですがあまり街中の散策は出来ていなかったり。「いいホテルでゆっくりしてみたい」と思いグランドプリンスホテル広島の予約を取って上述のテーマの下動いていたのでまあやむを得ないところではあるのですが。それでも広島への原爆投下から75年であることを踏まえて色々広島市内を巡ってみるのも良かったのかなとは振り返って思うところではあります*1

当然ながら感染対策(体調管理、こまめな消毒・手洗い、3密を避ける(とりわけ会話が発生しやすい食事環境)、厚生労働省接触者確認アプリのインストール、使用)に心がけながらの行程で帰宅後この2週間体調の変動はありませんでした。

 

何かと遠距離移動時の制約や留意点が多いご時世ではありますが、できる限りの対策を取りつつも様々なところを回ってみたいと思っています。

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*1:広島の原爆被害を伝えるものとしては原爆ドームに代表される現存する被爆建物・樹木等もあるが、市内各所に写真のような当時のその場所の写真と被害の様子などを記したモニュメントが設置されている(写真は広島駅南口広場のモニュメント)

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