~「もっと遠くへ」21時間~ 東京九州フェリー乗船記【はまゆう】(2022/05/03)

2021年12月以来5か月ぶりにして2022年最初となった乗船は、初めてその姿を見て2年近く経つこの船としました。

 

 

shangrillagoonbay.hatenablog.com

就航日:2021年3月2日*1/2021年7月1日*2

 

建造:三菱造船長崎造船所(本工場)

 

総トン数:15,515t

 

全長:222.5m

 

全幅:25.0m

 

車両積載台数:トラック154台、乗用車30台

 

航海速力:28.3ノット

 

【乗船日】2022年5月3日~5月4日

【乗船区間】横須賀新港→新門司港

京急横須賀中央駅東口

横浜駅から横須賀フェリーターミナルまでは京急線快特で最寄り駅となる横須賀中央駅まで25分程。横須賀中央駅東口改札を出て、ペデストリアンデッキのC階段を降りるとそこから道なりに15分程歩くとフェリーターミナルへ到着します。

途中「フェリーのりば」と書かれた案内看板が数か所設置。ターミナルに近づいてくるとフェリーの大きなファンネル(煙突)も見えてきます。

横須賀警察署前の交差点まで来ると白いファンネルがちょこんと姿を見せる
信号を渡りその先の突き当たりを右に進むとターミナル敷地の入口

ターミナル敷地の入口には「北九州行きフェリー」の案内標識が設置された

東京九州フェリー 横須賀フェリーターミナル

ターミナル建屋に入り検温とe乗船券お客さま控の発券を済ませて2階の出航ラウンジへ。ターミナルに到着したのは22:40頃でしたがこの日はゴールデンウイーク後半の3連休初日。予約自体も個室が満室ということもあり多くの人が乗船開始を待っていました。

ラウンジでは土産物やグッズ、飲料を販売している売店と軽食コーナーが営業中。地元なパン屋さんの物らしき菓子パンが販売されていたので1つ購入しました。

なお、ターミナル・船内の売店の飲料や菓子等の品揃えは限られている為必要であれば駅からターミナルまでの間に数店舗あるコンビニで仕入れておくのも1つの手です。

ターミナル建屋1Fはコンパクトな造り

2Fに出航ラウンジ(待合スペース)、売店、喫煙スペース(テラス)が設置。天井が高く広々とした印象を受ける

23:00に乗船開始。今回利用した船室は4F左舷側ツーリストSのS45‐4128号室。定員1人で室内はベッドと机と丸椅子、電源と壁掛けテレビが備え付けられたシンプルな部屋です。
船室の鍵は【それいゆ】ステートルームと同じくe乗船券お客さま控のQRコードを用います。

ツーリストS室内、想像していたよりは広く感じた

机のベッド寄りには室内灯、手元灯のスイッチと電源が設置(コンセント2口、USBポート1口、HDMI端子1口、テレビ用ヘッドホン端子1口)

御挨拶と注意書き

今回利用したS45区画は4Fエントランスから左舷側に入ってすぐの位置、区画1つに6部屋が配置されている

船室に入り荷物を下ろし、軽装に着替えた後に案内所で船室内テレビようのヘッドホンを借り(無料)、セッティングしているうちに大きな音が。6F展望デッキに出てみると岸壁から離岸していました。23:40頃と定刻より早く【はまゆう】は横須賀新港を出航しました。

出航後に大浴場で入浴し、その後就寝。今回もレストランの夜食営業はスルーしました。

翌朝目が覚めたのは5:30頃。照明点灯前で早朝で起き出す人も少ない時間帯のうちにエントランス周りの写真を撮っておくこととし船室を出ます。(もっとも、日中も夕方も普通に撮ってはいるのですが)

日の出の時間が早い分太陽は既に高く昇っていた

【はまゆう】デッキプラン
船内の配置は前回乗船した【それいゆ】と同一

船内サービス時間の案内、旅客が多い為かレストラン営業時間が通常より延長される旨の張り紙が

船室へ戻り二度寝も考えましたが既に目がさえていた為朝食開始までのんびりすることに。【はまゆう】は6:00時点で紀伊半島南東沖の海上を西に航行。陽射しも暖かく、波は太平洋と思えないほど穏やかでした。ただし展望デッキでは航行風が強く吹き付ける為1枚羽織れるものはあった方が良いように感じました。

:そうこうしているうちに船内照明の減光が解除となる7:45を過ぎレストランも朝食営業を開始。朝食は2種類のパンと牛乳を注文しました。

レストラン「うらら」入口にも営業時間延長の案内が掲示されていた

暖かいパンと紙パック入り牛乳でシンプルな朝食とした

朝食後少し休んだ後に前方のフォワードサロンへ向かいます。まだ朝のうちだけあって人は疎ら。白波も見えないほど穏やかな水面を前方に眺め過ごしていました。
その後2回目の入浴の為大浴場へ。やや熱めの内湯と航行風を取り込む露天風呂を行き来して風を浴びると心地よいのがこの航路の大浴場の魅力だと思います。
利用こそしませんでしたがサウナも開放されていました。

大浴場を出たのは9:20頃。この時間帯になると紀伊半島の陸地に近づく為携帯電話の電波も入りやすくなります。
9:40頃には紀伊半島、そして本州最南端の潮岬沖を通過。この日は乗船客も多い為かこの先の景勝地などでも展望デッキに出てカメラやスマートフォンを構える人が多くみられました。

潮岬沖

舵が切られ緩やかに弧を描くように曲がると航跡が良く見える

潮岬沖をすぎて10:10頃、新門司発横須賀行きの姉妹船【それいゆ】と紀伊半島南西沖で反航。逆光気味となった前回と比べ鮮やかな青の中を白い船が悠然と進む姿を見ることができました。


【それいゆ】が東へ過ぎ去っていくのを見届け船内へ戻ります。展望デッキに人々が繰り出すだけあって、エントランスホール周りの椅子などで寛ぐグループも多く見られました。この日はレストランの昼食営業も通常より30分繰上げの11:30に開始。席はすぐに埋まったようで遠隔呼び出し端末*3も配布されていました。

prtimes.jp

tqf.co.jp

https://tqf.co.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/R40422_BBQ_signage.jpg


前回乗船した際(夏季限定の筈が12月にも関わらず)昼食としたレストラン後方バーベキューガーデンでの船上バーベキュー。年末年始の後1度終了しましたが3/18から再び再開されていたため今回も申し込みました。

前回は案内所で申し出て名前と希望時間帯を伝える形でしたが、今回は繁忙期で希望者も多い為か抽選制に。乗船後すぐに申込用紙に氏名と部屋番号、希望時間帯と注文するセットを選択し用紙を箱に入れるという形式*4で、当日朝10時に当選者が案内所に貼りだされるというシステムになっています。

【それいゆ】反航後に案内所の貼り紙を確認すると12:00開始回*5に当選していたのを確認。12:00前にバーベキューガーデンへ向かいます。

バーベキューガーデン、ホットプレートは滑り止めの為のシートの上に設置されるように

今回も前回と同じくバーベキューセット1人前とライス、ジュース(コーラ)を注文。

具材のバリエーションはほぼ同一だが、ブロッコリーが追加されたり肉の部位等が若干変化している

お皿は全体的に立派になり、焼き肉のタレの量や追加も自分でできるように
塩だれがなかなか美味しい

鶏の手羽中はやや火がとおりにくいのでしっかり焼こう

流れる景色を眺めながらのバーベキューはやはり唯一無二の体験。制限時間がやや短くなりましたがそれでもゆったりと味わうことができました。終了時には伝票の代わりに各テーブル毎にラミネートされたバーコードが配布。これをセルフレジにかざし会計。バーコードはセルフレジ横で回収という流れになっていました。

昼になっても航跡以外の白波が全く見当たらない程海象は穏やか。ただ南側は薄いながら若干雲が増えてきていた

前夜に横須賀FTの売店で購入したパンをおやつ代わりに

正午時点で室戸岬沖まで到達し、土佐湾沖を西向きに昼下がりの時間帯を進んで行きます。この時間帯は自室に籠りBS放送を見るなどしてのんびりと過ごしていました。

15時前には足摺岬沖を通過。16時頃に沖の島付近を通過。ここで太平洋から離れ、周防灘へ向け豊後水道を北上していきます。

足摺岬

沖の島

舵を切り太平洋から豊後水道へ針路を向ける

豊後水道を北上し17:00にはレストラン夕食営業が開始。17:20頃入店。夕食はビーフシチューセットと杏仁豆腐を注文。ビーフシチューは以前から評判を聞いていましたが、肉が柔らかく煮込まれて味もしみていてとても美味しかったです。

ビーフシチュー

夕食を食べ終わると18時前。豊後水道で最も幅の狭い速吸瀬戸に入り佐田岬付近を通過し伊予灘へ進入。遂に瀬戸内海へ入ります。新門司到着まで3時間ほどになりますがここからも見どころが続きます。

佐田岬付近

太陽の高度も低くなり日没が近づく

窓から取り込まれた夕日の光が船内を照らしていく

19時丁度には太陽が周防灘の向こう側へ沈んでいきました。この時もまた多くの人が展望デッキに出てその様子を眺めていました。そして夕日の残りが空を照らす中で左側から見覚えのある大きな船体が近づいてきます。

この時【はまゆう】は姫島沖の周防灘を新門司方向へ針路を西へ変えながら航行。一方新門司から大阪南港・泉大津港へ17時台に出港した瀬戸内海航路のフェリーも姫島沖付近に到達。その後も18時台後半から20時にかけて関西・徳島方面への新門司発便が続くため他社航路同士のすれ違いが発生します。実際に航行している瀬戸内海航路のフェリーを見ることができる貴重な機会となっています。

大阪南港行き 名門大洋フェリー【フェリーおおさかⅡ】

泉大津行き 阪九フェリー【ひびき】

17時台発の2隻とすれ違った後は夜の闇が広がります。東航の明るい東京湾と比べて広いのもあり周防灘は暗め。部屋に戻り下船の準備を進めます。下船順序の案内放送へBGMが掛かります。そして機関の唸る音が聞こえる頃には埋め立て地に煌々と光る新門司港のターミナルと車両用ランプウェイはすぐそこです。

定刻通りの20:45頃に到着。20:50過ぎに各種車両とその運転手・同乗者(2人乗りバイクの2人目を除く)が開始。21:00丁度頃に徒歩乗船含む全乗船客の下船開始となりました。

21時間お世話になった船室を後に

送迎バスと複数台のトラック、そして多くの自家用車・二輪車が待機する新門司フェリーターミナル

【はまゆう】は休息もつかの間に3時間後には再び多くの人と車両を載せて横須賀へ向かう

新幹線を使えば下船後1時間半で博多駅まで出ることができ、日付が変わる前に鹿児島市内まで到達可能*6

旅客最繁忙期の1つにあたるGW中でほぼ予約が埋まっていた今回。前回と異なり確かにレストランにもエントランスホールにも大浴場にも人は常にいましたが、そもそもの旅客定員が少ないのもあってか不思議と窮屈さは感じませんでした。

天候・海象にも恵まれ出航から到着まで船内を、そして東航とはある種逆の視点となる西航の景色や見どころも存分に満喫することができました。

そして、最初に姿を見てから2年近く経ったこの船に漸く乗船することができて、実に感慨深く、そして嬉しく思っています。

 

昨年12月の東航【それいゆ】と今回の西航【はまゆう】で両方の視点を見ることができましたが乗船した季節は初冬と初夏。船名となった花はどちらも真夏に咲く花。となると一度真夏に乗ってみたいというのが今思うところです。















 

 

 




 

 

 

 

 

 

*1:新日本海フェリーの小樽・苫小牧~敦賀舞鶴航路へドック期間中(~2021年4月下旬)代船として先行就航

*2:東京九州フェリー横須賀~新門司航路就航日

*3:吉野家やショッピングモールのフードコートでよく見る端末、離れた場所でも機能するようで実際にフォワードサロンで作動している様子も見られた

*4:受付時間は乗船後から当日朝9:00まで

*5:開始時間は11:00,12:00,13:15からの3回で利用時間は45分間、各6組で計18組

*6:船内には門司駅小倉駅発の新幹線を含む鉄道各線の時刻表も掲示されている